特集 小児成人病の予防
小児期からの成人病予防への公衆衛生的アプローチ
竹内 宏一
1
Hiroichi TAKEUCHI
1
1浜松医科大学公衆衛生学
pp.755-758
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900680
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔意義〕
小児期からの成人病についてはすでに検討されているが1,2),公衆衛生面から取り組むことは,2つの点で大きな意義がある.1つは,生涯保健であり,もう1つは地域保健である.現在,生涯保健支援システムが種々試みられているが,それを構築する場合,文部省が主管する学齢期における健康管理システムをどう組み込むかが,難関の1つである.それに対して,この学齢期からの成人病予防の取り組みは,大きな先行的役割を果たすものといえる.現在,3歳児検診によって判定された肥満傾向児に対して,肥満予防教室が開催されつつある.確かに,これも有益ではあるが,子ども自身によるライフスタイルの確立ということからみても,小学校,中学校時代における取り組みが最も重要であることはいうまでもない.
つぎに,地域保健との関連を述べる.当然のことではあるが,学齢期の子どもといえども,子どもは学校の子であるとともに地域の子でもある.本主題を進展するに際して関与する職種は,保健婦と養護教諭,保健所栄養士と学校栄養職員や在宅栄養士,健康運動指導士や学校の体育教諭や社会体育関係者,他のボランティアの人々など,従来の地域保健活動には見られなかった関係が成立する.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.