特集 行動科学—その健康問題に果たす役割
行動と免疫調節
横山 三男
1
Mitsuo YOKOYAMA
1
1久留米大学医学部免疫学
pp.679-684
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900435
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■はじめに
これまで,生体を構成する細胞群のつながりを形態または機能から分類するという作業が展開されてきた.その結果として,それぞれに独立した系が形作られ,その系の中での機能が明らかにされた.今日では,それぞれの系の機構のなかで,1個の細胞ならびに連結した細胞群の動態を探る作業が展開され,細胞の生命現象ならびに細胞間の均整のとれた調和のメカニズムが解明されるようになった.ことに,細胞膜の多様化した分子構造と機能によって,細胞周辺での環境の変化が膜表面の分子の動きとしてシグナル化され,細胞質内へ情報として伝達される仕組みが明らかにされている.さらに,情報が細胞から細胞へと伝達されることによって,効果細胞による標的細胞への作用が完了する.その結果として,生体の恒常性が維持されている.これらの現象について,細胞ならびに分子レベルでの解析,さらには,遺伝子を操作することによって,それぞれ独立した系の細胞の生命現象から,生体全体の組織化された巧妙な機能が追求されている.
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