特集 学齢期の子供と現代社会
高層住宅と子供
織田 正昭
1
,
日暮 眞
1
Masa-aki ODA
1
,
Makoto HIGURASHI
1
1東京大学医学部母子保健学教室
pp.312-316
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900337
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■はじめに
大都市の高層のオフィスビルに押されるように近年,大都市周辺地域で高層集合住宅が急速に増えている.狭い国土に加えて,都市機能の集中化,人口の都市圏への集中とそれに伴う地価の高騰,家族形態の変化などわが国の諸事情からすれば,住居の高層化は流れとしてはある程度自然なのかもしれない.最近の新聞や雑誌などの住宅の宣伝広告を見ていると,20階,30階といった高層住宅の宣伝も目に入る.先頃,東京都内には40階,高さ120メートルの超高層マンションも出現した.わが国の建築技術からすれば,超々高層住宅も可能であろう.実現の可能性は別にしても,いくつかの建設会社から高さ1,000メートル,2,000メートル,4,000メートル(何と富士山よりも高い!)といった驚くべき超々高層の人工居住空間のアイデアも出されている(表1).しかし現在建てられている高層住宅は,高さからみればせいぜい100メートル,200メートルであるから,高層という物理的条件が直接的に人体に影響を及ぼすなどとは,少なくとも現段階では考えにくい.
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