特集 学齢期の子供と現代社会
現代社会と子供のアレルギー疾患
早川 浩
1
Hiroshi HAYAKAWA
1
1東京大学医学部附属病院分院小児科
pp.307-311
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900336
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
特集「学齢期の子供と現代社会」に寄せて,子供のアレルギー疾患の問題について考えてみよう.
アレルギー疾患は,悪性腫瘍や重症の内臓疾患あるいは結核などの慢性感染症と比べると一般に軽症の場合が多く,直接の被害を受けるのは患者本人に限られるので,公衆衛生の立場からもあまり重きをおかれていなかった.しかし,近年は他の重症疾患への対策が次第に充実し,かつ感染症が克服されてくると,残された大きな問題の一つとしてアレルギー疾患が注目されつつあると考えられる.また,後述するようにわが国では社会の都市化,工業化にともなって子供のアレルギー疾患が増加しており,しばしばマスコミにも取り上げられてその対応が社会問題化してきているといえよう.
本稿では,わが国の現在における子供のアレルギー疾患の実態とその問題点について,ことに学齢期を中心に簡単に述べる.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.