特集 学齢期の子供と現代社会
児童相談所からみた現代の子供
上出 弘之
1
Hiroyuki KAMI-IDE
1
1東京都児童相談センター
pp.317-320
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900338
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■はじめに
児童相談所は,改めて述べるまでもないと思うが児童福祉法に基づいて,各都道府県と政令指定都市に設置されている,公立の相談・措置機関であり,現在全国で170カ所を数えている.これらの児童相談所には,児童に関するもろもろの相談が寄せられるが,ここでの児童とは,学童ではなく,18歳未満のすべての子供を指すことを注意しておきたい.またもろもろの相談とはいうものの,医療保健関係,身体障害関係についての相談は,医療機関や保健所に寄せられる場合が多いであろうし,非行についての相談も,少年法との関係で児童相談所には比較的年少の(中学生ぐらいまで)ケースが主体となっている.しかし,子供の相談機関としては,医療・保健関係,教育関係そして司法関係など他の相談機関に比べ,児童相談所は最も間口が広い上,受ける件数も大変に多いということができよう.
間口の広いことから,児童相談所での相談内容は,その時代時代の子供の姿や問題をかなり的確に反映している.本稿では,児童相談所での相談統計を通しつつ,現代の子供の姿や問題について,感じているところを述べることとする.
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