特集 歯科保健
産業歯科衛生
西村 正雄
1
,
高久 悟
1
Masao NISHIMURA
1
,
Satoru TAKAKU
1
1東京歯科大学衛生学講座
pp.540-546
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900150
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■はじめに
産業衛生の歴史は,すでにヒポクラテス(Hippocrates;紀元前460〜377年頃)によって,特定の作業者に特有の疾病のあることが報告されている.また,産業衛生の発展は,イタリアのラマツィーニ(Bernardino Ramazzini;1633〜1714年)が『職業病について(De Morbis Artficum Diatriba)』を著してよりで,その後多くの先覚者によって産業衛生面の研究報告がなされた.さらに産業革命により,産業の発展に伴って労働条件が悪化したことから,産業衛生が強調されるようになったことも関係した.
わが国では戦前,紡績工場などで女子作業者の長時間労働と労働環境の悪さ,および低賃金などにより,結核と職業病で多くの犠牲者をだした.これらのことからわが国では,その対策として1916年工場法が公布され,1929年には女子の深夜業の禁止となり,さらに1947年に労働基準法が公布され,今日の労働安全衛生法にまで発展してきた.
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