特集 産業医の新たな体制と活動
公衆衛生と産業保健
荒記 俊一
1
,
佐藤 元
1
1東京大学大学院医学系研究科・医学部公衆衛生学教室
pp.324-330
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901881
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公衆衛生と産業保健
近代の産業保健(Occupational Health)と公衆衛生(Public Health)は産業革命期の英国で誕生し,グローバルに発展してきた学術である.それぞれ1833年の工場法(Factory Act)と1847年の公衆衛生法(Public Health Act)の制定が歴史上のエポックスになっている.今日の公衆衛生の研究と実践活動の基本的な方法になっている疫学と統計学を含め,産業保健,環境保健,予防医学,国民保健,社会福祉,地域保健など公衆衛生の伝統的な領域はすべて産業革命期の英国にルーツをたどることができる1).ただし,文献学的にみると産業保健の主要テーマの一つである職業病の歴史はそれらより古く,西洋文化発祥の地ギリシャにおけるヒポクラテスの鉛疝痛の記述(BC370年)にまでたどることができる.本稿は,産業保健の起源とその後の展開を世界の公衆衛生史の観点からまとめ,さらに産業保健の理論と実践活動,および最近の課題と動向を紹介する.
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