特集 神経疾患対策へのアプローチ
神経疾患の機能予後と管理
千田 富義
1
,
中村 隆一
1
CHIDA・Tomiyoshi
1
,
NAKAMURA・Ryuichi
1
1東北大学医学部附属リハビリテーション医学研究施設
pp.169-173
発行日 1990年3月15日
Published Date 1990/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900048
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
神経疾患による日本人の死亡率を見ると,脳血管障害やアルツハイマー病を含めた慢性変性神経疾患による死亡が多いのが特徴である.これらの疾患は主に老年期に発症するもので,患者数は人口の高齢化とともに今後も増加することが推測される1).一方,今田による宮城県の身体障害者手帳台帳に基づく調査では,肢体不自由の原因は外傷と感染が年度ごとに減少し,代わって脳血管障害,変性,神経・筋疾患などの神経疾患が増加する傾向にある2).今後人口の高齢化に伴って慢性神経疾患が増加し,精神・身体障害への対処が重要となってくる.
このような患者像の変化に対応して,ヘルス・ケア・システムのありかたが問題となってきた.ヘルス・ケアには予防的,一次,二次,三次ケアに加えて,一時的(respite care),機能回復的(restrative),永続的(continuing)ケアが含まれる3).昭和62年度厚生白書4)はこれらを総合したケア・システムを確立し,患者の機能に対応した施設から在宅に至る適切なケアを提供していくことの重要性を指摘している.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.