連載 All about 日本のワクチン・19
水痘ワクチン
服部 文彦
1
,
吉川 哲史
2
1豊川市民病院小児科
2藤田医科大学医学部小児科学
pp.728-731
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210337
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1.当該疾患の発生動向
水痘は水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus: VZV)感染後2週間程度の潜伏期間を経て発症する小児のウイルス感染症で、接触、飛沫感染に加え空気感染する感染力の強い疾患である。ワクチンで予防可能な疾患で、2012年に日本小児科学会から水痘ワクチンの1-2歳で2回接種が推奨され、2014年10月1日から定期接種対象疾患(A類疾病)となった。
水痘は5類感染症の定点報告疾患として、小児科定点から報告されている。さらに、ワクチンの定期接種導入に先立ち2014年9月19日から水痘入院例の全数報告が開始された。ワクチンが定期接種化された2015年以降の水痘患者報告数は明らかに減少している(図1)1)。患者の年齢分布をみると、定期接種化に伴い5歳未満の小児の割合が減少し、より年長児の割合が増加している(図2)2)。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きた2020年以降は年長児も含めて水痘小児科定点報告数がさらに減少しているが、背景として新型コロナウイルス感染症対策として行われた徹底した飛沫・接触感染策が大きく影響していると考えられる。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.