- 有料閲覧
- 文献概要
2024年6月8日,第123回日本皮膚科学会(日皮会)総会の場を借りて「デルマトオーケストラとその合唱団」によるベートーヴェンの交響曲第九番の演奏が終に実現した.第九を演(や)ろうと決起したのが2018年であったから,既に6年近く経っていた.準備から実現までは,新型コロナウイルスによるパンデミックの期間を飲み込み,見込みが立たなく右往左往する長いトンネルを抜けての自称快演であった.奏者自身,滅多に経験することがない,とてつもない感興を得た.さらに聴衆の皆さんにも喜んでもらうことができた.総会が終わった後も数日間は呆けていた.恐らく演奏に参加してくださった120名余の方々も,しばらく余韻に浸っていたと思う.この演奏会は,私自身が描いていたデルマトオケの完成型に近い.
皮膚科医によるオケを企画したのは2015年である.それまでも実現を考えていたが,大変なエネルギーや費用が要るために躊躇していた.それに多少のハメを外しても許されるような,自分自身の皮膚科学への貢献や業績がないとできない.契機は2016年浜松での第80回日皮会東部支部学術大会の主催であった.あくまで学会の文化活動と位置づけ,メンバーの70%以上は皮膚科医であることをイメージした.自分自身2010年に開塾した日本研究皮膚科学会「きさらぎ塾」に関わり,各教室を超えた交流に興味があった.このオケは「デルマトオーケストラ(Dermato-Orchestra)」と命名した.海外にも通用し英語で書かれても大丈夫なような名前である.将来的に海外の皮膚科医にもこのオーケストラの活動とCDが広まり,皮膚科学そのものだけではなく文化的業績がある日本の学会との高評価も期待した.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.