投稿・原著
韓国における人工授精および生殖補助医療の公費負担状況—保険適用の背景と影響に関する訪問調査
前田 恵理
1
,
石原 理
2
,
左 勝則
2
,
李 廷秀
3
,
小林 廉毅
4
1秋田大学大学院医学系研究科衛生学・公衆衛生学講座
2埼玉医科大学産科婦人科
3東京医療保健大学医療保健学研究科
4東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学
pp.84-90
発行日 2022年1月15日
Published Date 2022/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209777
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わが国では晩婚化・晩産化に伴い、不妊治療へのニーズは高まっている。日本産科婦人科学会によれば、年間約57,000人が生殖補助医療*1によって誕生1)したと報告されている。
わが国では従来から、不妊の原因検索のための検査と、その原因に対して有効性・安全性などが確立した手術療法および薬物療法については公的医療保険の対象とされてきたが、明らかな不妊原因を認めない、いわゆる原因不明不妊に対しても行われる人工授精*2や生殖補助医療は保険適用の対象とされてこなかった2)。実際には、これらの治療法は原因不明不妊を含む不妊症全般に対して、世界的にもすでに有効性・安全性が確立し3)4)広く実施されているが、特に生殖補助医療は治療費用が高額で、1周期当たり(卵巣刺激、採卵およびその後の胚移植含む)50万円程度にのぼることが報告されている5)6)。
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