特集 児童虐待予防に求められる医療・保健の役割—これ以上痛ましい事件を繰り返さないために
扉
奥田 晃久
1
1明星大学教育学部子ども臨床コース
pp.569
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209687
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児童福祉法(以下,児福法)が制定されたのは1947(昭和22)年のことです.以降,時代の変化に応じて条文に手が加えられてきましたが,ここ十数年ほど目まぐるしく児童虐待予防に関連する法の改正が行われたことはかつてありませんでした.その理由としては,全国の児童相談所における児童虐待対応件数の急増と,関係機関が的確に対応できなかった結果としての残忍な児童虐待死亡事件がなくならないことも一因として挙げられます.近年の児福法改正の一例としては,2016(平成28)年には「子どもが権利の主体」であることを明記するために第1条の改正が行われました.これは大変大きな改正でした.また,児童相談所の設置義務について都道府県・指定都市の他,「設置できる」と定められていた中核市または児童相談所設置市の中に,東京都内の特別区も含まれるようになりました.児童虐待への対応に限らず,社会的養護の必要な家庭等に果たす基礎自治体の役割がいかに重要かを物語っているのです.すなわち,住民に最も身近な地域で子ども家庭を支える医療・保健と福祉の地域連携は,これまで以上に重要な時代に入ったといえるでしょう.
今回,児童虐待の予防・早期発見をはじめとした児童福祉行政推進に当たり,本誌読者の皆さんとの共働がいかに大切かを,行政・司法・医療・学識経験者らさまざまな専門分野の第一線で活躍されている方々にご執筆いただきました.
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