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多職種産業保健スタッフの研究会,さんぽ会(http://sanpokai.umin.jp/)の3月月例会のテーマは「新型コロナとBCP〜震災から10年目の節目に」.東日本大震災から10年目を迎える3月11日に行われました.当日司会を務めた高家望氏(株式会社東急スポーツオアシス)とは,震災後に釜石・大槌町へ一緒に支援に行きました.大災害に対して人間がいかに無力なのか,当たり前の生活がいかに貴重かを実感し,感謝とともに丁寧に精一杯生きることを改めて決意した日でした.産業界や産業保健でも事業継続計画(Business Continuity Planning:BCP)という言葉が普及したきっかけともなりました.今回は企業や産業における“当たり前”を支える事業継続を学ぶ日として,「新型コロナとBCP」について取り上げました.今回のコロナ下で大きな経済的ダメージを受けた運輸・飲食業界から,さらに新常態(ニューノーマル)の生活に大きく関わっているIT・建築設計業界からも,それぞれ話題提供をお願いすることになりました.
最初に運輸業界から土屋智美氏(JRグループ健康保険組合)より,新型コロナのJR各社への影響について,通勤通学・インバウンド・ホテル事業の全てが低迷し業績に多大な影響があったことや,一時帰休や終電繰り上げ,駅ナカシェアオフィスなどの工夫で対応した様子が説明されました.健保組合では受診抑制や対面による面談指導が困難になった反面,ICTでの面談が進んだという良い面もあったそうです.テレワークの身体的・精神的影響が明らかになりつつあり,健診・保健指導やメンタルヘルスの4つのケアもwithコロナ仕様へ,ICT・ヘルスリテラシーを高め,新しい働き方を支える仕組みへと改良していると語られました.
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