連載 衛生行政キーワード・138
自殺対策のこれまでとこれから
松井 佑樹
1
1厚生労働省社会・援護局総務課自殺対策推進室
pp.177-180
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209581
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はじめに
日本の自殺者数は1997(平成9)年までは2万〜2万5千人程度を推移していたが,1998(平成10)年にバブル崩壊やアジア通貨危機等の影響から,一挙に8千人以上増加し3万人を超え,以後14年にわたり自殺者数が3万人を超える状態が続いた.2006(平成18)年10月に自殺対策基本法(平成18年法律第85号)が施行され,2007(平成19)年6月に閣議決定された自殺総合対策大綱(以下,「大綱」)に基づいて自殺対策が実施され,2012(平成24)年には15年ぶりに3万人を下回り,2010(平成22)年以降は10年連続で自殺者数は減少し,2018(平成30)年には2万840人で昭和56年以来37年ぶりに2万1千人を下回り,2019(令和元)年は2万169人と減少は続いている.
そのような中,2020(令和2)年1月よりわが国でも新型コロナウイルス感染症が発生し,同年4月と翌2021(令和3)年1月には緊急事態宣言が発令される事態となり,2020年は各月における自殺者数も2019年とは異なる推移を示している.本稿では,国における自殺対策の方針や体制について概説するとともに,コロナ禍における自殺の現状とその対策について述べる.
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