連載 リレー連載・列島ランナー・144
服薬自立支援プログラムによるアドヒアランス向上を目指して
相川 幸生
1
1北摂総合病院循環器科
pp.181-185
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209582
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はじめに—循環器診療の実状
現在わが国は少子高齢化が加速し,団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題に直面している.心疾患は日本人の死因第2位であり,その73%を心不全と虚血性心疾患が占めている1).特に心不全は国内に推計120万人(うち4人中3人が後期高齢者)とされ2),増加の一途を辿っている.心不全は増悪寛解を繰り返しながら徐々に身体機能が悪化していくのが特徴で,1年以内に約20〜40%が心不全再増悪で入院すると報告されている3).これまでに心保護薬やデバイスなど医療の発展により心疾患患者の生命予後は大きく改善してきたが,治療の成熟と共に生命予後改善の限界が見えてきたこともあり,近年では生命予後改善のみならず生活の質の向上や多様化する価値観への対応が求められるようになってきた.一方で,高齢患者の多くは多重疾患,身体的および社会的フレイル,認知機能低下,ポリファーマシーなど複数かつ複雑な問題(老年症候群)を抱えている.そのため診療科や職種を超えた多面的なアプローチによって患者ごとの多様性に対応することが求められているが,その実践は困難を極めている.
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