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はじめに
2019年3月に内閣府から40〜64歳までのひきこもりの数が推計61.3万人1)という調査結果が発表された.2015年9月に実施した調査では15〜39歳までのひきこもりの数が推計54.1万人2)と発表されているので,調査年度が異なるため単純な合計はできないにしても,推計約100万人以上がひきこもっているということになる.100万人以上というのはインパクトのある数値であり,「ひきこもり」がより社会的に注目されることになった.
島根県では,2015(平成27)年にひきこもり支援の中核を担う「島根県ひきこもり支援センター」(以下,当センター)を開設した.徐々に相談件数は増え,今では年間延べ500件前後の相談を受けている.
当センターでは,ひきこもりの支援は,厚生労働省3)が示している「ひきこもり支援の諸段階」(図1)に沿って施行しているが,第1段階である家族相談のケースが半数以上である.「ひきこもり」の相談なので,なかなか本人が登場する第2段階に上がることができないのが現状である.
ただ,長年勤務していると,「来ないだろう」と思っていた本人が突然来所してくれることがある.また,急に医療機関等の他機関に足を運ぶことがある.そこに至るには,何年も家族面接を続ける必要があった.継続面接をしている過程で,家族が「あまり意味がない」と感じ面接を中断したり,支援員としても「今日は何を話したらいいのだろう」と行き詰まる場面があった.それでも,さまざまな工夫を凝らし家族相談を継続していくことで,成果が上がっていることを実感している.以下は,「つながり続けること」に焦点を当てて,当センターの取り組みについてお伝えしたい.
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