映画の時間
—暗闇から明るみへと,物語が私を導く—リンドグレーン
桜山 豊夫
pp.929
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209294
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子ども時代に読んだ本,あるいは読み聞かせてもらった物語は,生涯において記憶に残ります.それが児童文学を紡ぐ作家の醍醐味でもあるのでしょう.児童文学者で本作品の主人公であるアストリッド・リンドグレーンの作品がわが国に紹介されたのは1960年代以降のことですから,それ以前に子ども時代を過ごした年代の方々には,なじみのなかった方もいらっしゃるかもしれません.「長くつ下のピッピ」「やかまし村の子どもたち」「名探偵カッレ君」や「ロッタちゃん」のシリーズなど,それ以後の世代の方々は,どこかでリンドグレーンの作品に触れていらっしゃると思います.そんなリンドグレーンの晩年でしょうか,年老いた女性が,子どもたちから届いた手紙の1通,1通に目を通している場面から映画は始まります.
「あなたはなぜ,そんなにも子どもの気持ちが分かるのですか?」
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