特集 栄養と健康—糖質制限食を中心に
糖尿病食事療法への教育における課題
本田 佳子
1
1女子栄養大学栄養学部医療栄養学研究室
pp.892-897
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209286
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はじめに
糖尿病治療において栄養食事療法は治療の基本であり,かつ,生命維持活動に不可欠のものである.Joslin1)は「ジョスリン糖尿病学」において「糖尿病の患者教育は治療の一部として極めて重要である」としている.また,Krallら2)は「糖尿病の患者教育は治療の一部ではなく治療そのものである」と,教育の必要性を明確にしている.WHO(World Health Organization)は「教育は糖尿病治療にとって不可欠なものであり,糖尿病患者を社会に復帰させるために必須である」として,やはり教育が治療の基礎であると位置付けている3).
糖尿病の治療の目的は,①正常なブドウ糖ホメオスターシスを回復し,血糖値の変動による感染症や意識障害を防ぐことと,②長期的合併症を防ぐための危険因子を減少することであろう.進行性の慢性疾患である糖尿病では,患者自身が治療の主体者とし,治療方法を自らが学び理解し実践することが勧められる.しかし,糖尿病は患者自身が治療による転帰改善を実感できにくい.医療者はさまざまな代替評価指標で将来を予測して栄養食事療法の実践の価値を強調・説明する必要がある.
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