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はじめに
近年,2型糖尿病,メタボリックシンドローム,脂質異常症といった「糖化ストレス」関連の生活習慣病が著明に増えつつある.これは日本国内や東南アジアをはじめ,世界的にみられる兆候である.糖化ストレスとは,グルコースや果糖などの還元糖,脂質,アルコールに由来するアルデヒドが過剰となり,体内の蛋白質と非酵素的に反応し,複雑な過程を経て,カルボルニル化蛋白や糖化最終生成物(advanced glycation end products:AGEs)を生成する反応を中心とする一連の生体反応である1)2).AGEsは組織内に沈着するとともに,receptor for AGE(RAGE)に結合して炎症性サイトカインを生成し,身体のさまざまな臓器,組織に障害を惹起する1).一部のAGEsはスカベンジャー受容体を介して細胞質内に移行して小胞体ストレスを惹起し,核内に至ればエピゲノム変化3)を引き起こす.食後の急激な血糖上昇(140mg/dL以上)は「血糖スパイク」4)と呼ばれ,開環型グルコースの露出アルデヒドによって同時多発的に多種のアルデヒド生成が惹起され(アルデヒドスパーク),血管内皮細胞障害をはじめとする組織障害の引き金となる(図1)5).代表的な中間体アルデヒドとしてグリセルアルデヒド(GA),3-デオキシグルコソン(3DG),グリオキサール(GO),メチルグリオキサール(MGO)が挙げられる.
食後高血糖は,これまで考えられてきた以上に生体へのダメージが大きい.中性脂肪やLDLコレステロールからもアルデヒドが生成されるので,脂質異常症も糖化ストレスの強い病態に位置付けられる.本稿では糖化ストレスを減弱させ,AGEs生成を抑える食生活について述べる.
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