特集 循環器疾患を予防する
特定健診・特定保健指導から見た循環器疾患予防の現状と課題
桑原 和代
1
,
岡村 智教
1
1慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室
pp.338-343
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209135
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はじめに
メタボリックシンドロームは,もともと高LDLコレステロール血症を治療しても虚血性心疾患を発症させるのはどのような要因かという「残余リスク」探索の過程で提唱された疾患概念である1).わが国における診断基準は,内臓脂肪の蓄積を共通の要因として,血糖高値,脂質異常(低HDLコレステロール血症または高トリグリセライド血症),血圧高値を呈する病態と定義されている2).これは,それぞれが重複した場合は,虚血性心疾患や脳血管疾患などの発症リスクが高くなること,そして,内臓脂肪を減少させることで一度にこれら複数の危険因子が改善できるという考え方を基本としている.すなわち,2008年に特定健診・特定保健指導が導入される以前は,保健指導や健康教育は健診の付録のような位置付けであったのが,現在の健診はむしろ,特定保健指導のための階層化を行うためのツールとして位置付けられているのである.
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