視点
特定健診・特定保健指導の展望―ポピュレーションアプローチの実践に向けて
渕上 博司
1
1財団法人埼玉県健康づくり事業団
pp.764-765
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101420
- 有料閲覧
- 文献概要
今年度から「メタボリックシンドローム」の概念を取り入れた特定健診・特定保健指導が始まりました.その基本理念は,健診で拾い上げられたハイリスクの個人だけを指導の対象とするのではなく,集団全体を健全な状態にシフトさせようというスケールの大きなものであり,私のような公衆衛生分野の医師にとっては心ときめく制度とも言えます.
従来の健診では,保健指導はともすると健診の「おまけ」として扱われがちでした.そのため,この業務を依頼してくる健保組合や自治体に正当な対価を請求しにくく,われわれがそれを充実強化することは困難でした.また,発注時の第一の条件は低価格であることという考えが主流になりつつあり,健診自体の存続さえ危ぶまれる感もありました.本制度の開始により,今後は一定の水準を維持した健診・保健指導の展開が必然となりました.健診機関にとって,それは大変画期的なことであると同時に,高品質な内容をいかに安定して提供できるかが,今後の重要な鍵となることを意味しています.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.