特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題
自然界の放射線—国内外の自然放射線レベルと高線量地域の放射線量
床次 眞司
1
,
細田 正洋
2
1国立大学法人弘前大学被ばく医療総合研究所放射線物理学部門
2国立大学法人弘前大学大学院保健学研究科放射線技術科学領域
pp.809-815
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209003
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はじめに
福島第一原子力発電所事故(2011年.以下,福島原発事故)後に,福島県双葉郡浪江町の住民に対して放射線の基礎知識に関するアンケート調査1)が実施された.その結果では,浪江町民は被災した経験を持つことから,放射線被ばくに対する理解はしているものの,自然放射線による被ばくに対してはその影響を心配しているということが分かった.さらに,浪江町民の多くは,対照地域である青森県3市民と異なり,同じ被ばく線量であっても,福島原発事故由来の人工放射線による被ばくの影響は自然放射線によるものと異なると考えていることが明らかになった.
自然放射線は宇宙の誕生とともに発生し,福島原発事故以前から存在したにもかかわらず,それについての理解は不十分である.本稿では,わが国の自然放射線被ばくの状況を俯瞰しつつ,海外での高自然放射線地域に関する情報について整理する.また,自然放射線被ばくに関する最近の話題について述べる.
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