特集 日本におけるWHO協力センター
世界保健機関(WHO)研究協力センターと,その役割
牧野 友彦
1
,
葛西 健
2
1世界保健機関 西太平洋地域事務局
2世界保健機関 西太平洋地域事務局 事業統括部
pp.662-665
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208963
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WHOと研究協力センター
世界保健機関(World Health Organization:WHO)は,世界の194カ国が加盟する,国際連合の保健医療に関する専門機関である.本部と6つの地域事務局,そして154の国事務所から構成されている.WHOには,研究開発に始まり,診断や医薬品などの基準づくり,各国政府の政策立案への支援,サーベイランスや感染症が発生した場合の緊急対応など,保健医療の幅広い分野で多岐にわたる活動が期待されている.しかし,これら全ての分野に対応できる機能を事務局内に保有するのは現実的ではない.このため,世界各地で高い評価と実績のある機関と協力関係を結び,「WHO研究協力センター」として指定することで世界中の要請に応える体制をとっている.現在,80カ国に827の研究協力センターがあり,日本も所属する西太平洋地域には10カ国に194のセンターが活動している(図1).
研究協力センターは,WHO本部あるいは地域事務局の関係部門の申請によって,2〜4年のWHOとの協力活動の実績を基に審査され,通常は4年の単位で承認・再認定される.技術分野別では,一番多いのが生活習慣病や母子保健,環境保健といった非感染症分野であり,次いで保健人材や医療保険,伝統医学などの保健医療制度分野,そして結核やマラリアなどの感染症分野と続く(図2).
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