特集 「早期発見」をめぐる課題
高齢者の口腔機能低下—その早期発見の意義と課題
水口 俊介
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1東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 老化制御学講座 高齢者歯科学分野
pp.146-151
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208833
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全身の健康と口腔との関連
超高齢社会が進展するわが国にとって,健康長寿社会の実現は必須の課題である.近年,口腔の状態と全身の健康との関連が次々と明らかになってきており,医科歯科連携の重要性が叫ばれるようになっている.
2006年に介護予防事業が開始されたが,介護予防は「サクセスフルエイジング」(successful ageing)を目指すための施策であり,その目的は,要介護状態になることをできる限り防ぎ,要介護状態になっても,それ以上,悪化しないようにすることである.同事業では,運動機能向上,口腔機能向上および栄養改善を目的とした3つのプログラムが実施されている.介護予防における口腔機能向上プログラムの目的は,口腔機能低下の予防によって,おいしく,楽しく,安全に食事を摂取し,栄養を確保することによって,いきいきと暮らせるよう支援することである.そのためには,①口腔衛生状態の改善,②口腔運動機能の向上,ならびに③継続的な口腔に関する意識・生活習慣の改善が必要である.すなわち,口腔衛生指導による歯科疾患予防を行って,誤嚥性肺炎や低栄養予防を考慮した口腔機能の向上を図り,また維持する必要がある.
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