連載 [講座]子どもを取り巻く環境と健康・23
社会経済要因の影響—(2) 認知/行動発達
喜多 歳子
1
,
岸 玲子
2
1北海道情報大学医療情報学部
2北海道大学環境健康科学研究教育センター
pp.79-84
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208596
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,幼少期の社会経済要因が成人期の保健行動や健康状態に長期的に影響することが明らかになるに従い,乳児期からの成長発達過程で何が起きているのかに関心が向けられてきている.しかし,日本では子どもの貧困が社会問題化している中で,その関心は学童期の子どもに向けられ,就学前の子どもに対する関心は今のところ十分ではない.生涯を通した疾病予防を考えるうえで,社会経済要因が乳幼児期の発達に与える影響を明らかにすることは重要であるが,日本では有効な対策を考えるためのエビデンスがほとんどない.そこで本稿では,筆者らが追跡している「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(以下,北海道スタディ)」および海外の報告を紹介し,乳幼児期を中心とした認知/行動発達への影響を概観するとともに今後の研究の方向性を検討したい.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.