「公衆衛生」書評
—印南 一路 編著—削るための政策から,守るための政策へ—医療費の増加要因ならびに医療費適正化政策のあり方を再考—『再考・医療費適正化—実証分析と理念に基づく政策案』
中村 好一
1
1自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
pp.46
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208589
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今や国民医療費は総額41兆円,国民一人当たりでは約32万円に達し,高所得者になれば年間100万円以上もの保険料を公的医療保険に支払っている.にもかかわらず,保険財政は危機的状況で,医療費全体の40%弱の税金を投入し,将来世代に負担を先送りしている状況にある.このままの仕組みが永続すると思う者は少数だろうが,抜本改革に伴う利害調整の困難さは誰もが予想でき,その故か医療費適正化を正面から論じた書はなかった.この点で本書は挑戦的である.
本書のタイトルは,「再考・医療費適正化」だが,再考している点は,次の2つにあると思われる.
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