講座 社会医療経済学・1
社会変動と医療費政策
池上 直己
1
Ikegami Naoki
1
1慶應義塾大学医学部病院管理学教室
pp.331-337
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104541
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はじめに
高齢社会への対応,医療技術の高度化,患者の要求水準の向上などにより,わが国の国民医療費は確実に増加の一途をたどることになろう.その一方で,昨今の経済事情を背景とした財源不足を理由として,「医療費の適正化」を課題とした種々の施策が今後強められることは確かである.そうした施策のなかには,医療機関や医療関連産業の経営を悪化させる要因が数多く含まれている.逆にいえば,医療関係者は,新しい環境下の政策の流れを十分に知悉して,その流れに乗った総合的な対応を考える必要に迫られているといえよう.
本稿では,急速な社会変動のなかで日本の医療費政策はいかなる方向へ向かおうとしているのか,今後の展開を考えてみることにしたい.
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