特集 行政保健師の質の保証—卒後教育・CPD
岩手県における保健師活動と保健師教育の現状と課題
鈴木 るり子
1
1岩手看護短期大学 専攻科 地域看護学専攻
pp.909-916
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208565
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岩手県は四国4県に匹敵する広大な面積を有している.1960年代までの岩手県は,自然環境の厳しさと,貧困,多病,多死の時代であった.その頃の人々の暮らしは大牟羅良の『ものいわぬ農民』1)や菊地武雄の『自分たちで生命を守った村』2)に詳細に記載されている.
菊地武雄の『自分たちで生命を守った村』に岩泉町の「有芸(うげい)村」(現在岩泉町に合併)は1941・42年の死者の47%は医者の死亡診断書さえ貰えず,「変死にあらざることを証明する」という警察官の“死亡検案書”になっていたとの一節がある2).このたびの台風10号は,この有芸地区を孤立集落にした.山深い集落であるが,豊かな水と豊富な山の恵みに囲まれ人々は暮らしていた.筆者は学生の実習でこの集落の住民に会っている.高齢化は進み中心街への交通網は不便だが,住民はその土地から離れる意思のないことを聞いている.
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