書籍紹介
『沖縄の精神医療』—(シリーズ 精神医学の知と技) 小椋 力 著 中山書店 2015年
pp.848
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208549
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沖縄の精神医療は太平洋戦争前にはほとんど「無」の状態だったが,現在では医療施設や社会復帰施設が整備され,人材の育成や確保についても量・質ともに全国平均を上回る.本書は沖縄県の精神医療の歴史と現状を解説したもの.沖縄は,太平洋戦争前から他県と異なる歴史・文化・風土をもち,戦後も日本で唯一の地上戦となった沖縄戦による心的トラウマや,敗戦後の米軍統治による米国医療の影響,また精神医療の決定的不足を補う派遣医制度など,沖縄特有の背景をもつ.そうした特有の事情による精神医療面への影響,地域精神医療・予防精神医療の可能性について詳述している.
著者は大阪生まれだが,小学校2年の時に父親が沖縄で戦死し,母と共に郷里鳥取県に帰郷し主として県内で教育を受け,米国留学後,琉球大学に医学部が新設されることとなって赴任,1984〜2003年琉球大学医学部精神神経医学教室の初代教授を務めた.見開きの年表,および写真・図・表30点がついている.
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