書評
—小椋 力 著—予防精神医学—脆弱要因の軽減とレジリエンスの増強
鈴木 道雄
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1富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座
pp.184
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205334
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わが国の予防精神医学の先達による包括的なモノグラフである。
近年,オーストラリアや英国を中心に始まった早期精神病early psychosisへの介入・予防活動が世界的な広がりを示し,わが国においても早期介入や予防にかつてない関心の高まりがみられている。著者の小椋 力・琉球大学名誉教授は,本書中に記されているように,公の場で精神障害の予防について語り難い雰囲気が強かったわが国で,1990年に予防について口火を切って論じ,1994年に大学生を対象に早期二次予防活動を開始し,2001年にはわが国初の予防精神医学領域の国際学会である第1回日本国際精神障害予防会議(2001年)の会長を務めるなど,文字通り日本の予防精神医学を牽引してこられた。本書には,わが国における予防精神医学の発展の歴史も含めて,予防精神医学の概念が包含する内容について,著者の未来志向の視点から余すところなく語られている。
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