特集 精神保健医療福祉の改革
精神保健福祉法改正後の保健所の役割と課題
中原 由美
1
1福岡県糸島保健所
pp.805-811
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208542
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保健所に求められる役割とは
1.法改正の背景と保健所への期待
2014年4月に「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律」(以下,改正法)が施行された.この法改正は,日本では多くの精神障害者が長期入院しており,2004年に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が出されたにもかかわらず,その現状が改善されておらず,効果的な改革を目指したものである.改正法は,精神科病院からの早期退院,地域移行を進め,長期入院や社会的入院の解消を進めるため,「退院後生活環境相談員の設置」「地域援助事業者との連携」「医療保護入院者退院支援委員会の開催」を精神科病院管理者の責務とし,さらに保健所の役割として医療機関との連携の強化を示している.「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針(厚生労働省告示第六十五号)」1)においても,「関係機関との調整等の保健所の有する機能を最大限有効に活用するための方策」をとることが保健所に求められている.
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