特集 精神保健医療福祉の改革
精神保健医療における地域連携促進に向けた改革
伊藤 弘人
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 社会精神保健研究部
pp.797-803
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208540
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精神保健医療改革として,2013年度から各都道府県が策定する医療計画に,従前の4疾病(がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病)に加え,「精神疾患」が5疾病目に追加された.この改革で精神疾患に関しての地域医療連携推進体制が記載されることになったため,どのような背景やねらいが当時あったのかという政策形成過程を振り返ることは,今後の方向を考える上で重要である.
また,本年(2016年)1月から厚生労働省では「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」を開催している.検討会では2つの分科会に分かれ,医療保護入院の在り方と,それ以外の精神保健医療の在り方の検討が並行して検討されている.特に後者において,精神疾患の地域医療連携の推進体制に直結する新たな議論がなされている.この検討会のまとめは,わが国が直面している社会保障制度改革の「工程」と連動していくために,注視しておく必要がある.本論を執筆している現在のところ報告書の内容は明確ではないが,すでに重要な論点が議論されており,これからの精神疾患の地域医療連携の推進体制構築に多くの示唆を得ることができる.
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