予防と臨床のはざまで
ヘルスリテラシー関連演題目立つ—第22回IUHPEダイジェストその2
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.708
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208515
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健康格差への処方箋としてのヘルスリテラシー(健康情報力)は,前回のIUHPE(パタヤ)に引き続き,今回のクリチバでも多く取り上げられていました.月〜木曜のメインプログラムは,朝9時〜基調講演,11時〜パラレルセッション,午後1時半〜準基調講演,午後3時半〜パラレルセッション,午後5時すぎからビジネスミーティングやインタラクティブセッション,学会総会など.パラレルセッションの形式にはシンポジウム,ワークショップ,一般口演,座談会(カンバセーションサークル),ポスター形式にも通常のポスター発表に加えて,e-ポスター,ダイナミックe-ポスター,発表のあるポスターウォークなど,多彩な発表形式がありました.ヘルスリテラシーは,複数の準基調講演やパラレルセッションでテーマに採用されていました(http://www.iuhpeconference2016.com/).
日本では漸くその概念や尺度が紹介され,学会等でも疫学的な調査が始まってきたところですが,欧米では国別の比較やヘルスリテラシーを向上させる介入に関心が高まっています.例えば2日目の“Interventions to improve health literacy”のセッションでは,Andrew Pleasant氏(米国)が,小中学生の親子学級での介入によりヘルスリテラシーが約10%向上し,親に最大-15kgの減量と平均40mg/dl血糖値の低下が,子供の53%に健康知識の向上と75%に家族の幸福感の向上を観察したと報告されました.同発表は翌日のセッションでも取り上げられました.
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