特集 災害時の公衆衛生活動
大規模災害時の公衆衛生活動と被災地支援の到達点
金谷 泰宏
1
,
鶴和 美穂
2
1国立保健医療科学院 健康危機管理研究部
2独立行政法人 国立病院機構災害医療センター 臨床研究部
pp.636-642
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208501
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阪神・淡路大震災(1995年)では,災害医療への対応がクローズアップされ,その後の災害派遣医療チーム(DMAT)の創設,広域災害救急医療情報システム(EMIS)の整備につながった.一方で,東日本大震災(2011年)では,避難生活の長期化に伴う健康影響への対応が課題とされた.このため地域保健法に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(以下,基本指針)の改正(2012年)の中で,大規模災害時の公衆衛生活動として,「被災地域の情報収集」と「医療連携・保健活動の全体調整,保健活動の支援・受援」が取り上げられた.その後の災害対策基本法の改正(2014年)では,避難所への保健医療サービスの提供が明記されたところである.しかしながら,被災地支援のあり方については必ずしも自治体間で一致しているわけではなく,その標準化が課題とされた.
そこで,2014年に全国衛生部長会災害時保健医療活動標準化検討委員会が設置され,被災地支援の到達点の一つとして,地震,津波,火山噴火,台風等の自然災害時に伴う重大な健康危機発生時における保健医療活動に関し,自治体間の応援を効果的に行うための組織として,「災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team;DHEAT)」が提案された.
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