特集 地域包括ケアの進化
地域包括ケアと認知症施策
山口 晴保
1
1群馬大学大学院保健学研究科
pp.590-595
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208489
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厚生労働省は,認知症施策推進5か年計画としてオレンジプランを2012年に定めたが,2014年11月に日本で認知症サミットが開催され,安倍首相が「認知症施策を省庁横断的に連携して取り組む国家戦略として格上げする」と宣言したのを受けて,2015年1月に国家戦略としての認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が発表された1).本戦略の対象期間は2025年までであるが,2017年度末を当面の目標設定年度として具体的な数値目標を示している.
新オレンジプランの基本的な考え方は,認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう,「認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」であり,本人の意思が尊重されて自分らしく〈尊厳保持〉と,地域の中で暮らし続ける〈地域包括ケア〉がキーワードになっている.また,医療機関や施設に入り続けるのではなく,適切な医療やリハビリで退院・退所して,その後も適切なサービスが提供される〈循環型の仕組み〉を推奨している.筆者は,循環型という言葉に,「精神科病院を認知症の人の終の棲家にしない」という思いが込められていると考えている.新オレンジプランには7つの柱(表1)がある.本稿ではその①〜⑦の柱について解説・コメントするとともに,認知症の予防施策についての見解を述べる.
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