特集 地域包括ケアの進化
地域包括ケアと介護予防—地域づくりの視点から
柳 尚夫
1
1兵庫県豊岡保健所
pp.579-583
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208487
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介護予防の変遷
国は,2006年の第3期介護保険事業計画から「介護予防」という概念を導入し,できるだけ多くの高齢者が自立的生活を送り,要介護状態になることを防ぐことを目指した.この考えを進めるために,国は市町村に対して,高齢者をチェックリストでスクリーニングし,要介護状態になりそうな高齢者に,短期間(3カ月)介入をするというハイリスクアプローチの方法論での介護予防を指示した.この施策は,特定高齢者施策と命名され,その後二次予防事業と名前を変えたが,目標としていた高齢者の5%にはほど遠い少数の参加者しか得られず,把握に膨大な費用と人的資源を投入していたことから費用対効果が極端に悪く,導入から9年たった第6期から方向転換をした.当初からこの方法論の課題を指摘する意見は私を含めた関係者から出されていたが,修正に9年かかり,全国の自治体がロスした時間とコストは大きいが,国施策が修正されたことを高く評価している.
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