視点
予防の視点で地域づくり
糸数 公
1
1沖縄県北部福祉保健所
pp.942-943
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100202
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災害弱者を守る地域ネットワーク会議
ハリケーン「カトリーナ」で避難できなかった多くの住民が援助を求めて苦しむ姿を映し出したニュース映像が,強烈な印象として記憶にとどまっている人も多いだろう.彼らは災害弱者そのものである.災害弱者とは,身近に災害などの危機が迫っているという情報を得ることができない者,または情報を得ることができても自らの力ではそれを回避(避難行動など)ができない者と定義されている(防災白書より).防災活動には,自助・共助・公助の3要素があることが以前より言われてきた(この場合の「公助」とは消防や役所など公的機関が行う救助活動のことを指す)が,9月1日の防災の日に合わせて各地で訓練が行われるのは,主に公助にかかわる関係機関の連携を図るためである.
しかし,一般的に被災直後には公助は十分には機能しないため,災害発生してから約72時間は,自助あるいは共助により住民は身を守らなければならないと言われている.特に災害弱者を守るためには,地域コミュニティのネットワークを活用した共助機能が重要になってくる.
当沖縄県北部福祉保健所では,今年度,市町村の協力を得てモデル自治会を選定し,災害弱者を守る地域ネットワーク会議を開いている.台風銀座と呼ばれ対策には慣れていると言われる沖縄だが,まれに避難が必要な暴風雨に遭遇し,数年前には避難しそびれた独居高齢者が死亡するという事例も発生している.この会議では図に示すように,時間の経過に沿って,それぞれがすべきことを埋めていった.
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