特集 地域包括ケアの進化
地域包括ケアシステムと地域医療構想—医療経済・政策学の視点から
二木 立
1
1日本福祉大学
pp.562-566
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208482
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地域包括ケアシステムは,2003年に初めて提唱されたとき,「介護サービスを中核」とする介護保険制度改革と位置づけられ,医療は診療所・在宅医療に限定されました(高齢者介護研究会「2015年の高齢者介護」).そのため,当時は,医療関係者の間では,それは医療とは無関係との理解が一般的でした.私は,かつて,ある医師会の講演会で,「地域包括ケアシステムが拡大すると介護費用が増え,医療費財源がその分抑制されるのではないか?」との質問を受けたことがあります.
しかし,その後地域包括ケアシステムの概念・範囲は徐々に拡大され,2012年以降は病院医療を含むことが明確になりました.その結果,最近では,地域包括ケアシステムが今後の医療・福祉改革の「中核」・「上位概念」であり,「地域医療構想」や急性期医療は下位概念,「脇役」との,以前とは逆の主張がなされるようにもなりました.
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