特集 進めよう! COPD対策
COPDの病因・発症機序等を踏まえた予防戦略
鈴木 雅
1
,
猪又 崇志
2
,
西村 正治
3
1北海道大学病院 内科Ⅰ
2北海道大学大学院医学研究科・医学部 医学教育推進センター
3北海道大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野
pp.829-834
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208318
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は全世界での主要な死因の一つであり,また有病率や死亡率が将来上昇すると予測されている疾患である.日本では年間約1万7千人がCOPDによって死亡しており,さらに年余にわたり増加傾向である1).2000年に本邦で行われた疫学調査(NICE study)では,COPDの有病率は40歳以上では8.6%とされ,患者数は約530万人と推計された2).COPDはそれ自体が患者のQOL(quality of life)を低下させるのみに留まらず,死因の上位にある肺炎や肺癌の危険因子・背景疾患としても重要であり,医療経済の観点からも社会的な脅威となっている3).
COPDは危険因子や病因の多くが明らかとなっており,本来的には定義上からも「予防可能」な疾患である4)が,その予防戦略は決して十分とは言えない.本稿では,COPDの危険因子や病因に加え,病態および発生機序の最新知見を概説するとともに,それらを踏まえたCOPD発症および増悪の予防戦略のあり方について提言する.
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