寄稿
高齢者就労に関する先行研究 その2—高齢者就労支援のあり方の検討
南 潮
1
,
藤原 佳典
1
1東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
pp.625-628
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208259
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日本におけるこれまでの高齢者就労支援の主流はシルバー人材センターによるものであり,第6期介護保険事業計画の中でも高齢者の日常生活支援の担い手として期待されている.シルバー人材センターが仲介する就業は高齢者福祉の一環として取り組まれてきた施策(福祉型就労)であり,労働者は雇用主との直接の雇用関係を持たない.これは生計に必要な賃金を得るための労働政策系列の就労(稼得型就労)と区別されており,「就労」でなく「就業」という表現を用いることが多い.原則60歳以上を対象とし,活動理念として社会参加が挙げられ,地域社会の協力と支持を得ながら,雇用主にも市場原理だけでなく高齢者就業の趣旨への賛同を求めるものである.2013年度の統計では全国に1300団体,会員数は約73万人が参加しているが,日本最大の高齢者就労支援ネットワークといえる.しかし2009年のピーク時会員数約79万人からすると,現在会員数が徐々に減少傾向にあり,その原因についての考察が期待されている.本稿ではこうした状況を鑑み,日本国内の高齢者就労支援の現況について明らかにするため,先行研究のレビューを行った1).
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