寄稿
高齢者就労に関する先行研究 その1—高齢者の就労が健康に与える影響
南 潮
1
,
藤原 佳典
1
1東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
pp.555-558
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208241
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超高齢社会が進展する中,高齢者の就労には減少する労働力人口の担い手として,また社会保障の受給者から納税者への転換といった点で社会からの期待が非常に大きい.本人にとっても社会的孤立の予防や心身の健康への寄与といったポジティブな面が指摘され,ひいては介護予防の効果を期待する声もある.本稿では2回に分けてこうした高齢者の就労に関する研究の現状と課題について先行研究をもとに概観し1),高齢者の就労支援のあり方について論考する.第1回は高齢者の就労が健康に与える影響について先行研究を総括する.
そもそも高齢者の就労に関する研究ではその目的により,多くの領域の知見が必要とされる.労働政策と社会保障を検討する経済学をはじめとして,経営学,社会学,心理学,健康科学,社会福祉学,さらには,医学・産業衛生学といった諸領域から理論面・実践面での学際的な協力が必要である.その中で公衆衛生学においては,高齢者保健・地域保健における,社会参加・生きがいづくりの視点から就労が本人の健康にどのような影響を与えているかを明らかにするとともに,高齢者にとって望ましい就労支援のあり方を提示することが期待されている.
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