特集 医療情報の利活用
がん登録の整備とがん診療情報の利活用
西本 寛
1
1国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部
pp.587-591
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208251
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がん登録推進法の成立
2013年12月13日に「がん登録等の推進に関する法律」(平成25年法律第111号,以下がん登録推進法)が臨時国会で成立,公布され,2016年1月には施行の予定となった.がん罹患を正確に把握することを主たる目的とする地域がん登録は1951年,東北大学の瀬木三雄先生が始められた宮城県の地域がん登録に始まり,関係者の努力もあって2012年から全都道府県で実施されるようになっていた.しかしながら,都道府県間をまたがった受診や住所移動の頻度の高いわが国では,都道府県単位での実施については課題が大きい状況にあった.
地域がん登録での共通の項目は,2004年厚生労働科学研究(祖父江班)において標準登録票項目25項目(表1)が定められた.しかしながら,都道府県によっては,独自のシステム・ソフトウェアを用いたり,病理診断を併用したり,独自の取り組みをしており,これら先進的取り組みは利点もあったが,全国においてデータの共用等に課題を残していた.こうした背景から,現在の地域がん登録を発展させて,がん対策の情報基盤を確立することを目的として,上記の法律が成立したわけである.
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