特集 公衆栄養への期待
国民健康・栄養調査の重要性と活用
古野 純典
1
,
今井 志乃
2
,
瀧本 秀美
2
1国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所
2国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学研究部
pp.517-520
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208233
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食物・栄養と身体活動はがん,動脈硬化性疾患,糖尿病などの非感染性慢性疾患の予防に極めて重要である.WHO(世界保健機関)は,非感染性慢性疾患の予防のための健康な食事を1日400グラム以上(5食以上)の野菜・果物,エネルギー総摂取量の10%未満のショ糖・果糖類(食品添加あるいは調理・食卓使用),エネルギー総摂取量の30%未満の脂肪摂取および1日5グラム未満の食塩と定義している1).さらに,飽和脂肪とトランス脂肪酸はそれぞれエネルギー総摂取量の10%未満と1%未満にすることを提言している.がん予防に関する国際的報告書でも野菜・果物と食塩について同様の指針が示されている(表1)2).これらの指針は多くの栄養疫学研究の結果,特にコホート研究のメタ分析の結果をもとにまとめられているが,適切な対策の企画と実施のためには地域の食物・栄養素摂取と身体活動をモニターすることが必要である.国民健康・栄養調査の結果は日本の健康政策に直結するものであるが,栄養疫学研究にも活用されてきた.国民健康・栄養調査の歴史と方法を概説し,最近の栄養学的課題について考察する.
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