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あとがき
高鳥毛 敏雄
pp.368
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103023
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1998年にWHO神戸センターでマイノリティの人々の健康に関する研究の班会議で「大阪のあいりん地域の人々では結核問題もあるが,高血圧,糖尿病の有病率が高い」ことを報告させていただいたところ,故馬場茂明神戸大名誉教授から「糖尿病は途上国の方が問題となっている,そのためにWHOのセンターを神戸に誘致した」とのコメントをいただきました.途上国では専門家が少なく循環器疾患,がん,糖尿病,COPD,肝疾患などに分けては対策が進めることができない状況が続いていました.WHOが「NCD」として非感染性疾患を1つの疾患概念として対策を進めることを意図した理由は,ひとくくりにしないと人材と対策の力を結集できない,先進国の疾患であるとの認識を変える必要があったからではないかと推測しています.
途上国の人々の健康は,たばこ,アルコール,食品など経済発展に伴いグローバルに展開している企業活動により脅かされています.グローバル化した社会においては世界の国々が協力して健康政策を進める必要性が高まってきています.
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