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あとがき
高鳥毛 敏雄
pp.838
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101429
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食は人間の基本的な営みであり,今でも衣食住の中の中心的な営みである.食物はもともと自らが生産するか,身近な生活圏内で確保してきたものである.しかし現在は,見知らぬ地域,見知らぬ人々が生産するものとなっている.食料生産は産業となり,ビジネスであり,企業活動として行うものとなっている.ビジネスであるから経済性,効率性が強く求められるのは当然なのであろう.生産者と消費者との距離が広がり,生産者にも消費者にも接することのない中間者が増え,農産物や食品の価格は市場が決定する状況になっている.生産者が消費者のニーズに基づいてコミュニケーションして農産物を流通させることは難しい状況にある.
「食品」を「物」として扱うことが日常化したことが,事業者が偽装に対する後ろめたさを感じにくくしてしまったのではないか.そうであれば,食品企業のコンプライアンス・マネジメント,企業倫理の向上,また消費者を保護するために企業や業者を取り締まる行政制度を強化していくのはやむを得ない流れなのであろう.
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