特別企画 いま産み育てる世代の感覚と対応
特別記事
受益者が充足できる出産を摸索する—子産み・子育ての復権を中心に
山田 美津子
1
,
三森 孔子
,
山西 みな子
2
,
江口 裕子
3
,
安住 矩子
4
,
根岸 悦子
5
1準備出産クラス
2元:稲田登戸病院産科
3読売新聞社編集局婦人部
4国立公衆衛生院衛生看護学科
5東京医科歯科大学産婦人科
pp.204-223
発行日 1978年4月25日
Published Date 1978/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205359
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根岸 戦後,近代医学が急速に導入されて,母体の死亡率も乳児死亡率も,ヨーロッパ諸国なんかに比較しますとまだまだ高いわけですけども,戦前に比較するとはるかに下がってきた。これは喜ばしいことなのですが,こういった施設分娩への移行に伴って,戦前に見られたような,お産婆さんと家族と産む女性とが一体となったお産,いわゆる肌の触れあいのある,家族ぐるみで新しい生命を迎えるという姿勢がなくなってきているのではないかという点が指摘できると思います。
それから,わたしたち女性にとって,はたして妊娠・分娩・育児をとりまく現在の様式が最高のものなのであろうかという問題も1つあるわけです。最近のように,あかちゃんを産む数が非常に少なくなりますと,たくさん産んでもみんなバリアベルビーなんでしょうけども,分娩は女性の一生の間の1度か2度の非常に大きな体験ですから,"幸せだ"という体験にしていきたいという切なる願いあるわけです。
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