特集 先端科学技術と公衆衛生
先端技術産業における公害防止対策
吉田 文和
1
Fumikazu YOSHIDA
1
1北海道大学経済学部
pp.826-829
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208076
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■シリコンバレーのハイテク汚染
最近,アメリカのシリコンバレーの例などから,ハイテク産業は必ずしも「クリーン」でないことが明らかとなってきた.問題の発端となったのは,半導体企業の老舗・フェアチャイルド社サンノゼ工場の使用済有機溶剤1・1・1・トリクロロエタンが地下貯蔵タンク(強化プラスチック製)から漏れ,それが600メートル離れた井戸水を汚染し,付近の住民に心臓病などの先天異常を多発させたとして,1982年に訴えられた事件である(図1参照).
これをきっかけにして,約250を越える半導体工場を含むシリコンバレーのハイテク工場が徹底的に調べられた結果,約80パーセントの地下貯蔵タンクから漏れが発見されたのである.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.