特集 先端科学技術と公衆衛生
先端科学産業における健康管理
吉田 貴彦
1
Takahiko YOSHIDA
1
1東海大学医学部衛生学教室
pp.820-825
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208075
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■はじめに
先端科学産業における健康管理について述べる前に,産業全般における労働衛生の目的とその目的達成のための健康管理の在り方について考えてみる.労働衛生を狭義に解釈するならば,職業性疾病や労働災害といった職場環境と労働者とのかかわり合いによって起こってくる,健康障害の発生を防止することを目的としている.これらの健康障害を防止するために講ずるべき処置は,作業環境管理,作業管理および健康管理の三管理が中心となる.したがって健全な労働衛生のためには,健康管理のみならず作業環境や労働態様の管理もあわせて考えなければならない.
旧来の健康管理は,健康障害が化学物質に起因するものであれ,物理的要因によるものであれ,労働態様にかかわるものであれ事後処理的に行われてきた.すなわち,健康障害がすでに起こってから原因の究明と対策が考えられ,後追い的であった,と言わざるをえない.
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