特集 人災と健康—第7回社会医学研究会・主題報告と総括討論
主題
公害防止に対する住民運動の役割
大平 昌彦
1
,
青山 英康
1
1岡山大学医学部衛生学教室
pp.615-623
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203368
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はじめに
第4回社会医学研究会の主テーマとして各地方ブロックが統一的,組織的に取り組んだ「地域開発」問題に対する社会医学的考察1)に際してはそれなりの成果を認めうることができたとしても,かずかずの問題点を残していたといえる。
わが国の資本主義経済の発展に伴って誕生した産業都市の形成は,戦後の飛躍的な経済成長の結果として態勢を整えた安保体制と呼ばれる国家独占資本主義段階に至って,全国的なスケールでの「新産業部市」造成として経済開発に伴う変換を示している。従って,これら地域開発が大資本の投資戦略としての目標である以上,ここに居住する住民との競合は,公害問題を契機とした地域開発に対する住民運動の推移の中に正しく捕えてはじめて社会医学的な問題への解明を可能にすると考えられるし,また社会医学研究の役割を明確にすることができるといえよう。
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