保健所活動の新しい展開
診療放射線技師の活動から
上島 唯雄
1
Tadao UESHIMA
1
1長野県大町保健所
pp.784-786
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208065
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◇はじめに
今日の科学進歩,特に医療機器の高度化は著しい.かつて保健所は,断層撮影装置・ポータブル装置等,結核にかかわる地域のリーダー機関としての役割を果たしていた.現在では,地域の医療機関が大型かつ高性能の医療機器を購入し,保健所の遅れはますますその格差を増大させている.
また,疾病構造も結核を主とする感染症疾患から成人病を中心とする慢性疾患へと変化し,住民のニーズも量的に拡大し,質的多様化へと変化してきている.しかし,今の保健所の実態は保健所黄昏論を裏付けるかのような旧態極まる装置設備ばかりで,住民のニーズに対し,十分応えられる状況にない.こんなジレンマにさいなまれている一職種の分野で,保健所の将来展望について論ずるにはあまりにもおこがましく,またそれなりの力量を有してはいないが,良き時代に思いをはせつつこれからの保健所における我々技術職の果たす役割は何か,当所において実施している結核対策事業の一部を紹介し,私見を述べてみたい.
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